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<この記事で分かること>
使用済みのものを改めて使う「リユース」市場が大きく拡大しています。環境省の「リユース市場規模調査」でも10年前の2015年に約1兆6,500億円だった市場規模は年々拡大を続け、2025年には3兆2,500億円と2倍近い伸びとなることが見込まれています。
背景にあるのは、良いものを少しでも安く手に入れたいという経済的な動機と資源を無駄にしないという環境意識の高まりです。また、デジタル技術の進歩によって、リユース品を売買するオンラインプラットフォームが、誰でも気軽に使えるものとして普及していることも、市場の拡大に拍車をかけています。このトレンドは骨董品市場にも影響を広げ、絵画や掛け軸、陶磁器、茶道具、さまざまな美術品や工芸品などの売買も盛んになりました。そういえば、わが家の実家にもお爺ちゃんが集めた骨董品が残っていたはず、あれは売れるかも……と考えている人がいるかもしれません。
この記事では、そもそも骨董品とは何か、骨董品の買取や査定の流れ、骨董品買取のメリットとデメリット、信頼できる買取店の選び方など、骨董品買取の基礎について詳しく解説します。
<骨董品買取の基礎知識>
・そもそも骨董品とは? その定義や種類
骨董品と呼ばれるものに明確な定義はありません。100年以上前に製作された品物で、希少価値があると認められる美術品や工芸品、装飾品を指す言葉です。主に絵画や掛け軸、茶道具、陶磁器、古道具などがあります。比較的新しい機械類でも、例えば二眼レフカメラなどは骨董品と呼ばれることがあります。
・骨董品買取の流れと一般的なプロセス
骨董品の買取は古道具店や古美術商などの専門店によって行われるものと、インターネット上に開設されたオークションのプラットフォームで、購入希望者が直接一対一で出品者から買い取るものと、大きく2種類があります。美術的・歴史的な価値が高く、高額で取引されるものほど専門店による買取が一般的で、インターネットオークションで取引される品物は、比較的安価で骨董品としての価値はそれほど高くありません。
専門店が行う買取は、次のような流れになります。
まず、骨董品の所有者が買取店へ持ち込むまたは買取店が出張し、品物の鑑定が行われます。鑑定はその品物の真贋を含め、どれくらいの価値のあるものかを、美術的・歴史・文化的な観点から専門的に評価するものです。
鑑定に続いて、その品物が実際にいくらで市場に出せるか、現実的な買取価格が示されます。これが「査定価格」と呼ばれるものです。鑑定結果をもとに流通市場の動向などを加味して、買取店が実際の売却可能額を念頭に値を付けたものです。市場の動向が加味されるので鑑定価格と同じにはなりません。例えば「本質的には1000万円相当の価値のある品物だが、今の市場では800万円が精一杯の売値」という具合です。
またこの査定価格=買取価格とは別に、実際に市場で取引された額である「売却価格」があります。
売手としては、少しでも高い査定価格を望みたいものです。その場合には複数の買取専門店に査定を依頼し、高いところに買い取ってもらうことになります。買取専門店は品物の分野によって特に強みを持っていることがあり、そのジャンルの買い手、つまり販路の情報を豊富に持っています。当然、より高く販売する力があるので査定価格が高くなることがあります。
・骨董品買取のメリットとデメリット
手元の骨董品を買い取ってもらい現金化することのメリット、デメリットは次のようなものです。
[メリット]
・親が購入したもので自分は特に関心がないとか、昔は良いと思って購入したが今は興味が移ってしまったというような時に、買取で現金化することができます。
・売却する骨董品を求める人の手に渡すことによって、品物の持っている価値を活かし、引き継ぐことができます。
[デメリット]
・骨董品はいったん買取に出してしまえば、同じものは二度と手に入りません。
・査定価格が思ったほどの金額ではなく不満が残ることがあります。
・相場は常に変動しているので、買取に出すタイミングによっては損をしたという気持ちが残ることがあります。
骨董品買取店を利用する際の注意点。信頼できる店の選び方とは?
骨董品買取を謳う店は数多くありますが、どの店でも同じということはありません。信頼できる店を選ぶことが後々後悔しない買取につながります。
信頼できる店の選び方でまず大切なのは、目利きがいる店かどうかです。
骨董品の鑑定や査定は誰でもできるものではありません。貴金属や宝石であれば、ある程度の知識と経験があれば鑑定はできます。しかし、骨董品は対象とするものの幅が広く、またそれぞれの分野で歴史的・文化的に深い背景を持っています。その分野についての基礎知識はもちろん、作者や技法、美術史的な背景についての十分な知識、現在の流通市場の動向、さらには保存状態や劣化の状況を見分ける科学的な視点など、非常に幅広い知識が必要であり、同種の品物の鑑定や査定、取引経験の豊富さも求められます。1年や2年、あるいは数年程度の経験では不十分です。
買取店のホームページなどには買取例が出ています。それを見れば、どういう分野に強いのかが分かり、また高額の買取例があれば、それだけ専門性の高い鑑定眼を持っていると推測できます。会社のプロフィールや沿革を見れば経験年数、美術倶楽部などへの加入実績も分かります。
確かな目利きがいて、多分野にわたる取り扱い実績があり、その中でも強みを持つ分野が査定依頼したいと思う分野をカバーするものであれば、買取の依頼先として理想的です。
骨董品の査定前に確認すべきポイント
基本的には出張査定を依頼するのが一番手軽で、様々なものを一括して査定してもらうことができます。しかし、ある品物について複数の店から査定を受けたいという場合は、査定依頼品を買取店に持ち込むスタイルも有効です。また、どのくらいの査定額になるのか目安を知りたいという場合は、LINEやメール添付で画像を送り、簡易査定を受けるという方法もあります。それによって出張査定を依頼するかどうかを判断できます。そうしたさまざまな買取のメニューを持っているかどうかを確認しておけば、買取店を賢く利用することができます。
査定を依頼しやすいさまざまな選択肢を用意している買取店は、依頼者のことを考えたサービス提供を心がけている店として評価できます。ただし、出張査定といいながら訪問したスタッフが写真だけ撮って帰り、後日査定結果を示すという業者もあるので、その点は注意が必要です。
骨董品の査定や現金化を終えた後は、そのまま実家の整理をしたいという人も少なくありません。その場合、別途、片付け業者を探して依頼するのは二度手間になり面倒です。骨董品買取業者の中には、片付け業者と提携して一体で行うところもあるので、骨董品査定の依頼時に、その点も確認しておくようにします。
骨董品買取とは?まとめ
骨董品買取の基本となる知識を解説しました。いかかでしたでしょうか。
もしお手元やご実家に骨董品があるなら、古くて汚れもあり価値はなさそうと処分してしまう前に、査定に出すことをお奨めします。意外に希少価値が高く、想像以上の高価で買い取ってもらえたというケースは少なくありません。そうなれば、その品物が持っている価値が引き継がれていくことにもなり、持っていた人の想いも品物と共に続いていきます。
古美術永澤では、目利きと呼ばれるベテラン査定士が、遺品整理、実家整理の現場へ出張し買取を行なっています。目利きは骨董品・美術品に限らず、コレクションアイテムなどの幅広いジャンルのお品物を可能な限り一括査定・買取いたします。
古美術永澤は、価値のあるものを見逃さない目利きに絶対の自信があります。
出張買取のご相談の際は、事前に品物の画像をLINEまたはメールでお送りください。おおよその査定額をお伝えすることも可能です。
担当
骨董買取コラム編集室
骨董目利き修行者
将来、古美術商になるため古美術永澤で修行中。愛読書は廣田不孤斎の歩いた道。