遺品買取・整理で損をしないために知っておきたい4つのポイント

遺品買取・整理骨董品買取 2025.03.25

[1] 遺品買取・整理の基礎知識

遺品整理と生前整理の違い

遺品整理と生前整理――いずれも本人が使っている生活用品や家財道具、趣味のコレクションなどを整理し片付けることです。それを本人の亡くなった後に家族や親族などが行えば遺品整理であり、本人が存命の間に本人または他の人が行えば生前整理ということになります。

生前整理と似た言葉に「終活」があります。2009年に掲載された週刊誌の記事が初出といわれ、それをきっかけに多くのマスコミで取り上げられるようになりました。生前整理も終活もすることはほぼ同じですが、あえて違いを挙げれば、生前整理がどちらかと言えば、残される家族や親族の負担を少なくするための身辺整理であるのに対して、終活は、「活」という字が使われているように、人生を終える準備をする自分のための活動であり、老後の生き方のひとつと言えます。

いずれにしても生前整理や終活を進めても、ものを一切何も残さずに他界する人はありません。遺族には遺品整理という仕事がどうしても必要になります。

遺品整理における遺品買取の重要性

ある程度生前整理を進めていた故人でも、遺品として遺族の手に託されるものは少なくありません。まして、片付けが苦手だったり、突然の他界であったような場合には、整理しなければならない遺品は非常に多くなります。

遺品整理で迷うのは故人が大切にしてきた骨董品や美術品、趣味で集めたコレクションなどです。その多くは作者をはじめ入手経路や入手場所などが不明のことが多く、一見してそれほど価値があるように見えません。また家族や親族が見ても、ぜひほしいと思うようなものではないことが多いと思います。しかし、もしかしたら価値があるものかもしれません。また趣味のコレクションなどは本人の想いや熱意が改めて感じられて、簡単に不要品として処分するわけにもいきません。といって、誰かが引き取っても結局どこかにしまっておくだけで場所塞ぎになるだけです。

こうしたものは一度買取専門店に声をかけて買取をしてもらうのがいちばんです。専門店は多くの骨董品や美術品を見ており、また、古銭、勲章、時計、カメラなどといったコレクションの市場についても詳しく、さまざまな品の買取ができます。こうした買取専門店を利用すれば価値のあるものを見過ごしたり、不要品として処分してしまうといった失敗もなくなります。また、買取専門店の査定の際に教えてもらった情報によって故人が何に魅力を感じてコレクションしてきたのか、その経緯が見えてくることがあり、想いを引き継ぐことにもつながります。

 

[2] 買取対象となる主な品目

骨董品・美術品の査定ポイント

骨董品や美術品の買取専門店が具体的にどんなものを買い取るのか、詳細はあまり知られていませんが、一般に想像するより幅が広いものです。掛け軸や屏風、絵画(油絵、日本画、デッサン)、陶磁器などはもちろん、茶道具や蒔絵、漆芸、彫刻、書道具、根付、七宝などの工芸品、古銭や切手、金銀製品、腕時計、着物や人形、さらに鉄道模型など、幅広いジャンルが買取の対象となります。

有名作家のものと思われるものは真贋に関わる慎重な鑑定が行われ、その他の品物についても市場に関する豊富な知識を踏まえて査定が行われます。骨董品や美術品に定価はありません。買取専門店の担当者にどれだけの経験と幅広い知識があるかによって査定の妥当性や精度の高さは変わってきます。例えばあるジャンルについて市場動向に疎ければ自信をもって買取価格が提示できず、安全を見た低価格の提示になります。逆に、もし市場に精通し多くの販路を持ち、どこにその価値を認める買い手が存在するかを知っていれば、自信をもって高い査定額を提示することができます。

 

[3] 遺品整理と遺品買取の心理的側面

遺品整理で気持ちの整理をする

遺品整理は遺族にとっては辛い作業です。まだ故人との別れから日も浅く、遺品を前にすれば生前の姿が蘇り、もっと話したかった、あのときはこうすれば良かった、といった後悔の念も湧き上がってきます。冷静に遺品に向き合うことは簡単ではありません。

しかし、どこかで気持ちの整理をつけることも必要です。逆に言えば、遺品整理を故人を偲び心の整理をする機会として積極的に捉えれば、前向きな姿勢で取り組むことができます。ただし、一人では寂しく、手も止まりがちになりますから、家族や親族、故人の親しい友人など、複数で思い出話などをしながら進めるのが良いでしょう。

家族と遺品整理の方針を決めるコツ

・遺品整理の目的を明確にする

遺品整理は非常に多くの品物を相手にする時間のかかる作業です。無理のない範囲でスケジュールを組むことが大切です。とにかく手近なところからと不用意に始めてしまうと、ものだけが引っ張り出されて整理が追いつかず、気がついたら足の踏み場もないといったことになりがちです。何を目的にするのか――取りあえず仕分けをするためなのか、不要品の処分なのか、買取に出せそうな品の掘り出しなのか、家を空にすることなのか――それをまず明確にすることが必要です。

・役割分担を決める

目的を決めたら役割分担を決めます。遺品整理をする人が、バラバラな思いで手をつけると、同じようなことを別の場所でしていたり、取り出すばかりで整理したり仕分けする人がいないといったことも起こりがちです。片付け場所・部屋を分担したり、取り出す人、仕分けをする人、別の場所に運び出して整理する人というように役割を分担したりして効率よく進めることが大切です。

・遺品の分類ルールを決める

遺品整理に当たっては分類のルールを決めておくと作業がスムーズになります。例えば、骨董品や美術品など価値のありそうなもので専門家の査定を仰ぐもの、そのまま使えそうな衣類や家電製品・日用品、家では使わないが誰かに使ってもらいたいと思うもの、不要だがリサイクルに回せそうなもの、ごみとして処分するもの、などです。分別に迷うものも1つのグループにして、後で複数の人で判断するようにすれば、手が止まることもありません。

・形見分けのルールを決める

故人の愛用品やアクセサリーなどを家族や親族、親しい友人に贈り、生前の親交に感謝し、また、折に触れて故人を偲んでもらうよすがにしてもらうために形見分けがあります。亡くなってすぐにするものではなく、少なくとも30日から2カ月程度の間をおいて、故人を偲ぶ内輪の集まりなどの際に行います。遺品整理が先になることが多いので、その際に形見分けで贈るものを分別しておくとスムーズです。

形見分けにふさわしいのは、故人の愛用していた万年筆や腕時計、鞄などの日用品や衣類、アクセサリー、趣味のものなどです。また、誰に何をもらってもらうのかは一人で決めずに話し合いながら決めると「あれは私がほしかったのに」といった不満が出たりトラブルになることがありません。

・遺品整理の方法を決める

遺品整理は多くの品物を扱い、一つひとつに応じてさまざまな処分を検討することになるので、段取りが重要です。

まず不要品として処分する(リサイクルに出す、または廃棄処分する)ものと、何らかの形で引き続き使うものとに大きく分け、引き続き使うもののなかでも、骨董品や美術品など財産としての価値の高いものは専門家に査定をしてもらいます。非常に古いものや趣味のコレクションなど、素人目には価値があるように見えなくても、専門家から見ると意外に価値の高いものがあります。できるだけ幅広く専門家に見てもらい、その後の処分方法を決める参考にします。

・遺品整理のスケジュールを決める

遺品整理の現場が遠方の実家で、家族が集まりにくいというケースは少なくありません。誰に来てほしいかということ念頭にまず日程を決めます。品物の量にもよりますが、1日で終わらないことも十分に考えられます。

遺品整理で特に重要になるのが、骨董品や美術品など財産としての価値の高いものの選別です。できるだけ早い段階で専門家の査定を受けておくと、その後の処理の方針が立てやすくなります。価値があるのかどうかも分からないというものも少なくありませんが、買取専門店の査定士に見てもらえば見落としもありません。

[4] 遺品買取を相談する業者の選び方

信頼できる遺品買取業者の見分け方

骨董品や美術品、趣味のコレクションなどが比較的多い場合、遺品整理の第一歩は買取専門店への相談です。それらの価値を見極めるためには専門家の判断が必要であり、素人目には価値がないように見えても、コレクターの間で高い評価になっているといった場合もあります。しかし、骨董品や美術品の買取を謳っていても歴史が浅く買取の実績の少ない業者や経験や知識の豊富な査定士がいない、特定のジャンルに偏っている、といった場合はやはり価値あるものを見逃してしまう不安もあります。目利きとよばれるレベルの査定士がいるか、取り扱い分野は広いか、実績はあるかといったことをあらかじめ確認することが大切です。

古物商許可、象牙取扱資格、買取実績、美術倶楽部への加盟等

もちろんその買取専門店が古物商の許可を持っていることは大前提です。中古品販売を行う業者には義務づけられているもので、これがなければ事業はできません。また象牙製品を扱う場合には特別国際種事業の登録を済ませた業者でなければなりません。これはワシントン条約で象牙の輸出入が原則禁止とされていることによるもので、象牙製品や象牙の加工品すべてについてこれらの製品の取引を業として行う者は、あらかじめ国に登録していなければならないとされています。

多分野にわたる買取実績があることも確かめましょう。買取が多いということは適切に市場に売却していく販路と顧客をもっているということであり、市場での信頼が厚いことを物語るものです。また美術商で構成する美術倶楽部は、古美術、近現代の絵画や工芸など、それぞれの分野のエキスパートが所属し、交換会や品評会などを実施、切磋琢磨しながら骨董品や美術品の継承を進めています。こうした倶楽部への加盟の有無や活動内容も買取専門店を選ぶ際の参考になります。

出張買取と持ち込み買取のメリット・デメリット

買取専門店への依頼の仕方は、片付けの現場まで来てもらう出張買取とこちら品物をもって買取専門店を訪ねる持ち込み買取の2つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので自分に合ったものを選びます。

・出張買取

メリットは運ぶ手間が省けることに加えて、査定をしてもらいたいと考えているもの以外のものも気軽に見てもらうことができる点です。また、訪問すれば査定士も「こういうものがある家ならこんなものもあるはず」といった勘が働いて、意外な掘り出し物の発見につながることがあります。また、出張買取に大きなデメリットはありません。出張費用が加算される場合はデメリットになりますが、無料で行っているところもあります。

・持ち込み買取

持ち込み買取のメリットは、こちらの都合で日時を選び、見てほしいと思うものだけを見せることができることです。また、それほど遠くないところに別の買取店があれば、品物を持って回ることもでき、複数の店から査定額を聞いて比較することができます。デメリットは品物を運ぶ手間です。見てもらいたいと思うものが多くても荷物がかさばれば点数を限定せざるを得ません。

遺品整理と買取を同時に依頼するメリット

遺品整理の作業では、片付けだけでなく買取に回すものも出てきます。とくに故人が骨董品・美術品や工芸品を多数所有していたり、趣味のコレクションを持っていた場合は、買取依頼が多くなる可能性があります。その場合は、まず買取専門店を呼んで査定をしてもらうことになります。「遺品全体の片付けを済ませてから」と考える必要はありません。片付けを先にしたために実は価値の高いものをうっかり捨ててしまったとか、誰かにあげてしまった、といった失敗も考えられます。買取専門店のなかには、買取に引き続き遺品整理をしてくれるところがあります。遺品整理と買取の依頼が一度で済むので手間がかからないだけでなく、買取で得た費用で整理費用を抑えることもできます。

遺品整理・買取のまとめ

 遺品整理は遺族に託された仕事です。遺品の中に骨董品や美術品などがあったら、骨董買取店に査定を依頼しましょう。早い段階で買取の査定を受けておけば、遺品を現金化することができ、整理や処分を業者に依頼する費用にもあてられます。

骨董買取専門店の古美術永澤では、目利きとよばれるベテランの査定士が遺品整理の現場に出張し、故人の想いが詰まった遺品を丁寧に査定・買取します。また、提携する整理業者の手で整理作業を同時に進めることもできます。

遺品整理で出てきた骨董品・美術品などの価値のあるものを適切に処分するために、価値のありそうな品が出てきたら査定をご相談ください。また、手軽に査定する方法として、LINE査定があります。品物をスマートフォンで撮影しLINEでお送りいただければ、画像査定を行いおおよその買取額をお知らせいたします。

 

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骨董買取コラム編集室

骨董目利き修行者

将来、古美術商になるため古美術永澤で修行中。愛読書は廣田不孤斎の歩いた道。