劉奎齡りゅうけいれい

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    劉奎齡(りゅうけいれい、1885年—1967年)字耀辰、号蝶隐。中国近現代美術史を開拓した巨匠。“全能画家”と称される。工筆をよくし、動物画に優れ、植物や人物画、及び山水画を得意とする。劉継卣の父。

    劉奎齡が描く動物は多種に渡り、その幅の広さは追随を許さない。作品は広がりを感じさせるゆったりとした構図で、配された動物たちは生命力にあふれ、瑞々しい彩色での描画は深い境地に至っている。

    劉奎齡は中国伝統画派と中西融合派の中堅で、西洋の古典主義、ルネサンス、浪漫主義、リアリズムや印象派の色彩学までも掌握し、油絵技法を吸収した。西洋の現代アートと中国の伝統芸術の中に創造への精神的な相似性を見出し、伝統的な写実技法に光をあてた。また、日本画へも思いを寄せ、横山大観と竹内栖鳳などの代表的な作家を参考とし、朦朧体、狩野派、大和絵、漢画などの古典技法を精密に研究している。その芸術性は惠孝同、劉子久、陳少梅、劉継卣、何家英などの芸術家たちに大きな影響を与えた。
    何家英は、“劉奎齡先生は中国写実国画の巨匠である。その画風は西洋画法を取り込み、中国画として独創的な新技法を生み出した。その表現方法は、中国画の本質を失うことなく、自然の美しさを華やかに、惜しみなく表現したうえで、さらに自然に息づいている。”と絶賛。また、1953年に初めて劉奎齡の作品を見た徐悲鴻は、大変感動し、友人を介して作品制作を依頼している。その1年後、徐悲鴻は作品の完成を待つことなく病のため他界したが、劉奎齡の代表作である《上林春色図》を高く評価していた。

    年表
    1885年 清光緒十一年 天津郊区土城村(現天津市河西区土城平建里2、3号)に生れる。祖籍浙江紹興市。
    1889年 清光緒十五年 4歳の頃、動物や草花を好んで描いた。
    1912年 民国元年 27歳 天津新新画報館の絵師となる。
    1918年 民国七年 33歳 土城村で第3子に劉継卣が生まれる。
    1920年 民国九年 35歳 職業画家となる。
    第一届中日絵画聯展が北京南河沿にある欧美同学会で行われ、横山大観、渡辺晨畝、竹内栖鳳などの作品に啓発される。
    1930年 民国十九年 45歳 劉継卣とともに愛新覚羅溥儀、愛新覚溥儒、愛新覚溥杰と知り合う。
    1955年 70歳 中国人民政治協商会議河北省天津市委員に就く。
    1956年 71歳 中国美術家協会天津部会副主席に就く。
    1958年 73歳 天津市河西区土城中大街28号に住む。毛沢東主席が天津視察に訪れた際に、劉奎齡と劉継卣と接見する。ふたりは貢献を讃えられ激励を受ける。
    1967年 82歳 6月天津土城で逝去。

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